The Game Gallery

ボードゲームに関するレビュー・プレイレポート・サマリーなどを掲載しています

2019年ベストボードゲーム

2019年のボードゲームを月別に振り返ってベストボードゲームを語るライブ - TGGライブVol53 - を配信しました。


The Game Gallery 2019年ベストボードゲーム - TGGライブ 【Vol.53】

このライブでは、月別に印象に残ってるゲームを話しながら、最後にベストを語るという流れで進めています。ブログでは月別で気になったゲームのピックップと補足を書いていきます。

2019年01月

この月は、ニューフロンティアとクルセイダーの2つが印象に残った月でした。


【ボードゲーム レビュー】「New Frontiers」- プエルトリコのSF版詳細レビュー

ニューフロンティアは、プエルトリコ〜レース・フォー・ザ・ギャラクシーの文脈で続く由緒正しい系譜のゲームで、2020年にはついに日本語版もでます。この基本セットは初版だけあってトム・レーマンらしいバランスの難もありますが、この後の拡張セットで調整されていくのが楽しみですね。


【ボードゲーム レビュー】「クルセイダー」- マンカラをうまく活用した傑作

こちらはマンカラ系の傑作として2019年を通じて繰り返しプレイしました。マンカラとしては、トラヤヌスですが、同時にプレイの難しさも語られているゲームです。クルセイダーは、マンカラのコマを取り除いた瞬間に効果が発揮するという風に変更することでプレイのしやすさを確保した秀作になりました。

ただ、こちらも「祈り」効果が強すぎる弊害が指摘されており、「一旦移動を挟まないと連続で祈れない」といったローカルルールで回避してプレイされています。2020年には、そのあたりの弊害を解消した拡張セットの登場が期待されます(デザイナーのブログには開発中であることが書かれています)。

2019年02月

2月は、ブラックアウト香港、コンコルディアヴィーナスが印象に残っています。この2つとも日本語版が登場するようになり近年は待てば日本語でプレイできるという流れになっていますね。


【ボードゲーム レビュー】「ブラックアウト香港」- 大規模停電を回復させるのはどのチームだ!?

ブラックアウト香港は、プフィスターさんの独特なカード運用が特徴のゲームシリーズの第3段。このブラックアウト香港では、停電した香港を回復させるのがテーマですが、カード運用は相変わらず特殊です。

"目的カードとして購入"、"目的達成で手札に"、"プロットカードとして利用 or 偵察に使用"、"病院行き"などカードの使われる場所がどんどん変わっていきます。この辺りの複雑さでこの作品の好き嫌いは分かれそうです。

2019年03月

3月は、この後1年を通じてプレイすることになるグルームヘイブンをプレイしています。


【ボードゲーム レビュー】「グルームヘイブン」- TRPGとボードゲームが融合した傑作

2020年の01月には一般販売も始まるこのゲーム。とにかく素読みでもプレイしていこうということで、細いルールは1年かけて直しながら進めています。日本語版がリリースされたことで2020年は日本語版で続きをプレイすることになりそうです。

2019年04月

4月はクルセイダーズがまだまだプレイした月ですが、拡張セットも販売されるというホームステッダーズを完全日本語化してプレイし始めた月でもありました。


【ボードゲーム レビュー】「ホームステッダーズ」- 押出しセリで建築して西部を開拓

日本語版が出ていないのが、本当に残念なこの作品ですが、日本語化したことで快適にプレイできるようになりました。個人的にセリの完成形である押出で、建物購入による特殊能力+リソース獲得、借金と2010年代のトレンドが形成される直前の世界観を覗けるゲームです。

この後に、拡張セットも入手して1年間何度もプレイしました。

合わせて、クリプティッドが目立った月でもあります。


【ボードゲーム レビュー】「Cryptid」- 未知の生命体がいる場所は誰が知ってる?

ボードのどこかに隠れているウームを見つけ出すというテーマも変わっていますが、プログラムによって作られたと思われるシナリオごとのパターンが秀逸で繰り返しプレイしました。私が持っていたのは英語版だったので手放してしまいましたが、日本語版をどこかで再入手したいと思っています。

2019年05月

5月は、懐かしい名作「Roads & Boats」が印象に残った月ですね。

f:id:mltgg:20200102093155j:plain:w500

お互いのプレイヤーに干渉しないパズルモードでプレイしまして、数時間に渡って自分の世界に最高のロジスティックを作るという体験をしています。

f:id:mltgg:20200102093202j:plain:w500

2019年には20周年版も出ているうので、気になる方は探してみるといいですね。

2019年06月

6月は、夏〜秋にかけて繰り返しプレイすることになった、ヌスフィヨルドが出てきていますね。


【ボードゲーム レビュー】「ヌスフィヨルド(Nusfjord)」- ウヴェ氏の久々中量級ワーカープレイスメント

ウヴェローゼンバーグさんのワーカープレイスメントとしては、2019年まででは、このヌスフィヨルドが個人的には最高だろうと思っています。アイコン化をしていないタイプですが、建物カードのでかたと、手元への配置の仕方によって変わるゲーム展開、長老カードの購入タイミングと面白さが詰まっています。

私が持っていたのがドイツ語版だったので、何度となくルールエラーが発見されて直しながらのプレイとなりましたが、それでも楽しかったですね。拡張セットのヒラメはカードは1セットしか入っていませんが、同梱されているコインが非常に便利なので日本語版が出てほしいところです。

ただ、この月に最も印象に残ったのはウィングスパン。

ウイングスパン 完全日本語版

ウイングスパン 完全日本語版

  • 発売日: 2019/10/17
  • メディア: おもちゃ&ホビー

ストーンマイヤー社の中量級ゲーム。プレイが面倒くさい印象のあるエンジンビルドを中量級までうまく落とし込んできた。プレイも軽妙で手元の鳥達によってエンジンが動き始める部分が面白い。ゲームバランスはいつものストーンマイヤー節なので、拡張セットによってバランスが取られていくのは仕方ない。

2019年07月

7月は特に目立った作品が少なかった月でした。テラフォーミングマーズ、クルセイダーズ、グルームヘイブン当たりを繰り返しプレイしていますね。ライブでその辺の様子を語っています。

個人的には、アレアの新シリーズに非常に注目していたのですが、ルールの記述・コンポーネントのクオリティーともにいま一歩の出来でゲームそのものはともかく個人的には残念なブランドスタートでした。


【ボードゲーム レビュー】「ラスベガス ロイヤル」- アレア新シリーズ開幕

2019年08月

7月に続いて名作を繰り返してプレイしようという月間が続いている頃ですね。Move Foward & Action型の名作「ヘブン&エール」を再プレイしていますね。


【ボードゲーム レビュー】「ヘヴン & エール」- エールを作るのは修行僧!?

手元のビール農場を作るパズル的なモダンな部分とMove Foward & Actionによるアクション選択が非常にうまくマッチした作品。特に複数の要素を平均的にあげていかないと点数にならないという最近のトレンドもうまくキャッチアップしていて面白く出来上がっていると思います。

この月で一番印象に残ったのは、カードカソンヌ。カルカソンヌとは全然関係ない(アートワークだけ)。手元に配られたカードを配置していって、どこまで我慢するのか、どこで出されたカードを確保するのかの選択がいいゲームですね。インディーゲームの聖杯サクセションがこれの二人用として印象に残りますね。


【ボードゲーム レビュー】「聖杯サクセション」- 王位系継承権をめぐって聖杯と勢力争いがテーマの傑作2人用ゲーム

2019年09月

9月はライブでは触れていませんが、八八をプレイしていますね。関東に来てからプレイする機会がすっかり減ってしまっていますが、出降り、手役、出来役の妙を楽しめる最高のゲームの1つです。2020年もプレイしてゆきたいですね。

さて、そんな9月ですが「スカラビア」と「MENTAL BLOCKS」も良かったですね。

スカラビア 完全日本語版

スカラビア 完全日本語版

  • 発売日: 2019/02/07
  • メディア: おもちゃ&ホビー

いずれも所有していないのでレビューをアップできていませんがいいゲームですね。スカラビアは、タイルの同時配置という私の好きな「Take it Easy型」。スカラビアは、配置を邪魔する岩が置かれているなかで、タイルを配置して囲んでいくところが更にいいですね。メンタルブロックスは、日本語版の話が聞こえてきませんが、好きな方は多そうですし2020年は日本語版に期待したいです。

そして、この月に最も印象の残ったのは、「Q.E」。

f:id:mltgg:20200102102509j:plain:w500

手元のお金が無限というセリとしては画期的なシステム。これで本当にゲームになるのか?!的な心配になるゲームですが、ところがどっこいガッチリゲームとして機能しているというところが最高ですね。アメリカンオークション型としてはかなり良かったです。

2019年10月

ゲームマーケット前夜の10月はリメイクの2つが飛び抜けていましたね。

片方はグレンモア2。


「グレンモア2」- 豪華コンポーネントの開封&紹介【ボードゲーム】

1が入手難だったこともありますが、大量の拡張セット入り。そして氏族による別の選択肢を用意してきて帰ってきたこの作品。10〜11月にかけてかなりの回数をプレイしました。Move Foward & Action型好きの私ですが、それでもかなりの数を繰り返してプレイしましたね。1プレイがそれほど長くなくインストが容易であることと、拡張セットによって味わいが変えられるというとことが良かったのかもしれません。

もう1つは白ブラス


「Brass Barmingham」- 名作ブラスが舞台をバーミンガムに移して再登場【ボードゲーム】

黒・白両方をプレイしましたが、私の好みとしては白ブラスでした。カードの処理に若干ですが修正を加えていて、そこがモダンな感じのチューニングでプレイしやすくなっている同時にゲーム性を損なわない改変で素晴らしい仕上がりです。ただ、運河の時代でどのルートが使えないか、という部分を可視化するための工夫はあったほうが遥かにプレイしやすくなると思いますので、そのあたりは要注意ですね。これからも繰り返しプレイしてゆくことになりそうです。

2019年11月

11月は二人用の傑作2つが登場していますね。


味方を袋から引けるかどうかが鍵の対戦ゲーム -【War Chest】/ ボードゲーム


蘇った巨神と狐軍団の超非対称な対戦ゲーム -【スカル ホロウ】/ ボードゲーム

アブストラクト的な対戦にバックドローを組み込んだ名作と、非対称な対戦にしたスカルホロウ。両作品とも非常な完成度の作品でThe Game Galleryでレビューしています二人用ゲームのなかでも月間トップクラスの参照数になったゲームでした。

そして、この11月〜12月にリプレイすることになる作品が通称「大肩」こと「シティー・オブ・ザ・ビッグショルダーズ」


シカゴで会社経営の妙味を味わう -【シティー・オブ・ザ・ビッグショルダーズ】/ ボードゲーム

重量級としても少ないジャンルである18系の会社管理システムを馴染みのあるワーカープレイスメントに落とし込んだこの作品。会社によってのバランスが無茶苦茶じゃないか?とも思いながらプレイしてゆくと不思議な味わいがあって、これはこれでい良いんじゃないか?と再プレイしたくなる魅力。ただ、拡張セットで追加の会社を入れるのは必須のようです。持っていて嬉しい作品と思います。

2019年12月

最後の12月は、どれもまだレビューできていませんね。「テラマラ」「AWKWARD GUEST」「ノヴァルナ」「ROAM」と軽量級から重量級までのバランスがうまく揃った一ヶ月でした。

同時に、2020年春リリース予定の「ROBOTrick(仮称)」のテストプレイに奔走していまして、個人的にはドタバタだった1ヶ月でしたね。

2019年ベスト

ということで2019年のベストですが、やっぱり「GloomHaven」でした。BGG1位は伊達ではありません。このタイプのマスターが不要なシナリオクリア型はたくさんプレイしてきましたが、2019年末現在までて、たしかに最高の品質と面白さに仕上がっていることは間違いありません。

f:id:mltgg:20200102104739p:plain

日本語版も登場して、ますますプレイヤーが増えることが予想されるこのゲームが、2019年の最高の作品でした。2020年も新しいゲームに出会えるのが楽しみです。