1月 20

【樹形図】デッキビルド編

多種多様なボードゲームがリリースされるなか、特定のシステムごとにおおよそどのようなゲームがリリースされたのか時間軸と個人的印象による関係性で整理してみました。今回は「デッキビルド編」です。

【作成条件】

樹形図は、ボードゲームギークから「Deck/Pool Building」のシステムを持つもので一定のRatingが付けられているものを抽出して、そこから代表的なものをピックアップして選択してあります。

樹形図_デッキビルド編_V1.7

以下は個人的なメモ書きです( 2018.01.20 )

【黎明期】

BGGの条件検索によると、ドミニオンが最初と思いきやアバロンヒルの「Slapshot (AH : 1982年)」あたりが元祖に出てきます。アイスホッケーのチームを各プレイヤーが手札のカードで作り上げて、他プレイヤーのチームと闘う。一定回数勝利するとゲームに勝てるという比較的シンプルなものでした。
 
いわゆるサプライが山札しかないので、現代から振り返るとデッキビルディングのイメージは薄いですが、手元のチームカード群をうまく改善していくというあたりはビルドしてゆく要素として新しい体験を提供しています。
 
このスラップショットは、その後にデザインを微妙に変えながらPhantoms of the Ice ( White Wind : 1994年 ) 、Power Play (Amigo : 1998年 )とリメイクを繰り返しています。この他のバージョンもまだあるようです。特にPower Playは丁度日本にドイツ系ゲームが出回り始めた後にあたるため、それなりの数が国内に流通しているので、今から(2018年)でもまだ入手し易いと思います。
 
そして、時は20年ほど流れて「Scarab Lords(FF:2002年)」。ライナー・クニツィア氏のデッキビルディングゲーム。当時のFantasy Flight社は薄い箱ゲームを沢山リリースして、ドイツゲームの影響を受けたアメリカ版ゲームを模索してた頃の作品群の1つといえます。
 
今から見ると箱もカードもかなりあっさりしていて、中身は、ブルームーン(2004年)を連想させる二人対戦ゲームです。バトルラインばりに中央のエリアを取り合う・各自は個別デッキを持っているというシステムが特徴でした。 
 
後に続編の「Minotaur Lords (FF : 2004年)」がブルームーンの初版と同じ年にリリースされていますが、これはScarab Lordsのデッキと混ぜて使える独立拡張とも言えるゲームになっていました。このあたりは、デッキ構築という要素が強く、ここでもゲーム中にカードを購入するサプライという概念は出てきません。TCGからトレーディングの要素を抜いて固定にしようとしてた作品のはしりという印象でしょうか。
 
ちなみに、Scarab LordsからFF社で始まったトレーティング要素が無いデッキを使ったゲームは、Fantasy Flight社のお得意ゲームになってゆき、この後は「Living Card Game」という名前で(トレーティング要素がなく1ゲームを購入すると必要なカードは揃ってる)、「Netrunner」「Arkham Horror」「Call of Cthuluhu」「A Game of Thrones」「The Lord of the Rings」などの各種のシリーズが現在でもリリースされているのは興味深いです。

【誕生】

ドミニオン (Hans in Gluck : 2008年)。国内にもメビウスさん経由でドイツ語版がいち早く輸入され、大量の和訳カード張りや、未使用のカードが大量に出る(各ゲーム毎にサプライに入れなくて箱にしまってあるカード達)など強い印象を残したゲームです。ドイツ語版 -> 英語版 -> 日本語版と次々プレイしやすい原語がリリースされ毎年のようにドミニオンを購入するというのが始まった年でもあります。
 
「固定サプライがある」「買ったカードは自分の捨て札に入れる」「手札は手番が終わると全部捨てる」「1ゲーム毎にサプライは変えていい」という幾つもの目新しい要素が入ったドミニオン。この年から後に、このドミニオンが影響を与えたデッキビルディングゲームが大量に生み出される事になります。
 
その中でも、「サンダーストーン (AEG :2009年 )」は、ドミニオン同様に現代(2018年)まで拡張が出続けているシステムで、ドミニオンからプレイの方向性をより明確にし「発生するモンスター達を倒すパーティー(デッキ)を組み上げ、モンスターをより多く倒すことによって勝利をつかむ」というものでした。
 
システム的は目新しさはなかったものの、何をするゲームか非常にわかりやすく、その後の拡張セットも「別のダンジョン」といったテーマでリリースしやすいのが特徴でした。アドバンスドサンダーストーンなど様々なバリエーションが出で海外では続いていますが、日本語版は今のところ新しいものは出ていないのが残念です。 

【ランダムサプライ】

ドミニオン・サンダーストーンと固定サプライ型のデッキビルディングが大量にリリースされるなか、もっと緩くプレイしても大丈夫と言わんばかりに登場したのが「ランダムサプライ」。つまり購入できるカードがランダムで出てくるので何を購入できるかは一期一会という大胆なアレンジでした。このタイプの元祖が「アセンション (Stoneblade : 2010年)」です。
 
アセンションは、サンダーストーンの特徴も引き継いでいて、自分のデッキを強くしてモンスターとも闘い、モンスターを倒すとVPなどが貰えるというシステムを採用していました。ランダムサプライゆえにデッキの構築に運の要素が強いですが、根強いファンも多く「ランダムサプライ型のデッキビルディング」もこの「アセンション」以後に大量に生み出されることになります。
 
その1つとして、近年の「Clank! (Renegade : 2016年)」にもアセンションの影響を色濃く見ることが出来ます。 

【協力型】

現在(2018年)では、完全に1つのジャンルとして定着した「協力型ゲーム」ですが、現在まで続く協力型ゲームの金字塔「パンデミック」は2008年リリース。つまりドミニオンと同い年となります。ドミニオンがリリースされデッキビルディングが1ジャンルとして成長していくと同時に、協力型ゲームも広く認知されてゆきます※1。
 
そうしたなか、この2つの要素を合体させてリリースされたのが「Rune Age ( 2011年 )」です。
 
Rune Age自身は、タリスマン系のシステムを引き継ぎぐ「ルーンバウンド」の世界観を持つゲームで「4つの種族から各プレイヤーは1つを選択して、シナリオ毎に協調したり争ったりする」という斬新なシステムでした。ただ、このゲーム自身はシステムの過度な複雑性なども合わさって、今ひとつの注目度・評価に終わったのは残念なところです。
 
協力型デッキビルディングは、Rune Ageで終わること無く、「Legendary Encountersシリーズ (2012〜)」や「Path Finderシリーズ(2014〜)」が誕生し、大量の拡張セットもリリースされており人気作品として現在まで続いています。
 
Legendary Encounterシリーズは、「マーベル」「プレデター」「エイリアン」「Buffy」「Civil War」など海外で非常にメジャーなテーマを中心に取り上げて、定期的にリリースされています。残念ながら国内流通はほとんどしていないようです。
 
一方のPath Finderはサンダーストーンを協力型にして、元のTRPGの要素を移植したといった形になっており、大量のシナリオ拡張もリリースされています。これもファンの多いゲームですが、日本語版が2017年後半にようやくリリースされ、2018年には拡張セットの日本語版もアナウンスされています。TRPGとボードゲームの垣根が非常に低くなったゲームとも言えると思います。
 
日本語化されたり国内流通しているものが何故か少ない協力型のデッキビルディングですが、Path Finderの後も「Mistfall (2015年)」「One Deck Dungeon (2016年)」「Aeon’s End (2016年)」「Dragon Fire (2017年)」と評価の高いものがいくつもリリースされて「デッキビルディング・協力型」という1ジャンルを築いています。
 
特に「Aeon’s End」などは「ドミニオン」と類似の固定サプライなどを採用していますが、シナリオに沿った敵と戦って、シナリオゴールを目指すという協力型の典型的な要素に加えて、「プレイヤーの手番順序はランダム」「自分の捨て札は決してシャッフルせず置いた順番に出てくる」など非常にユニークなシステムを採用しており、興味深いゲームになっています。
 
※1 パンデミック以前の協力型ゲームは、BGGでデッキビルディングと同様な調べ方をすると少なく「アーカムホラー 1987年/ 2005年」「指輪物語 2001年」「丘の上に住む裏切り者の館 2004年」等がありました

【多様化】  

現在まで続くデッキビルディングのそれぞれの元祖「ドミニオン」「サンダーストーン」「アセンション」「Rune Age」が出揃ったあたりから、他の要素と融合させた「デッキビルディング」とだけ呼ぶには難しいゲームも大量にでています。「ドミニオン」「サンダーストーン」「アセンション」の御三家の拡張セットが未だにリリースされていることからも独自色を出すために必然だったのかもしれません。
 
たとえば、トークンを引く要素を追加してバックドローシステムを作用した名作「オルレアン(2014年)」。服を作っていく為の職人たちを雇っていく「ロココの仕立て屋 (2013年)」。地形による戦略性を大幅に取り入れた「数エーカーの雪(2011年)」。レース要素の強い「エルドラド(2017年)」。固定サプライの新しいカタチを提示した「ヴァレッタ(2017年)」など多種多様な様相を呈しています。
 
2018年のリリース予定を見ても、まだまだ大量の多様化したデッキビルディングゲームがリリース候補にあがっており、この中からまた新しい1ジャンルが確率されるかもしれません。 
 

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