The Game Gallery

ボードゲームに関するレビュー・プレイレポート・サマリーなどを掲載しています

BoardGame Review Book Vol.1をリリース

はじめに

ゲームマーケット2022秋も終わり、TGGで発行したBoardGame Review Book Vol.1をなんとか世に出すことができました。今回はそのBoardGame Review Book Vol.1を出すまでの話を書いてみます(これはTwitterに連投したものを再編集しています)。

きっかけ

本を出そうと決めたのはコロナ中の2020年の秋です。以前から話してますが、デジタルデータはわりとあっさり消えます。ホームページもブログもYoutubeもTwitterもなくなるときは一瞬です。

また、当たり前ですが、20世紀のボードゲームの情報として今見れているのは、本や同人誌ばかりです(20世紀最後に増えたホームページは大半が消えて無くなっています)。

10年後とかに振り返った際、手元に残る当時のゲームが詰まった本が欲しいと思っていました。これだけ日本語版が出る時代の記録として、そして私が好きなゲームを詰め込めるだけ詰めこんだ本とか欲しかったのです。

同時に2020年の夏頃には、私的な理由でTGGは更新無期停止の瀬戸際にありました。状況次第では永久に更新を再開できない状況にあり実際一次停止しました。

いくつかの理由があったのだけど、TGGの方を見てくれる人が本当にいるのか(BOTが永久に再生してるんじゃないかとか..)というのも理由の1つでした。これを確認したいという思いでプライシングを当時の最低まで下げてメンバー制度を開始しました。更新をどうするか悩んでいた時期だったので確かめたかったのです。

そして、私の予想に反して、たちまち多くの方に登録いただき温かい声をいただきました。

事あるごとに話していますが、TGGが維持・更新できているのは、メンバー様の支援が私の大きな支えになっており、このメンバー様への還元としても本をつくろうと決めました。

今回も採算性はともかく、予約や通販、別冊など、あらゆる点でメンバー様に感謝を返せるよう、またご希望の方になるべく届くよう手を尽くしてたつもりです。

紙面レイアウト

書くことを決めた後は、2020秋から2021春にかけて数十のサンプル原稿を書います。Twitter的な短いものから、ブログ的な2000文字クラスまで書きくらべて適当な長さをしばらく模索していました。

カタログ的に、ボードゲームの紹介をひたすら入れた本にする事はこの時点で決まっていましたので、どういう分量が適当なのか決めかねていた時期でした。

市販本も参考にしており、通称赤本や、絵画の紹介ムック本を見てレイアウトや雰囲気を探ってました。雑誌はPENやPEAKSの影響を強く受けています。Vol.1には間に合いませんでしたが、山田五郎さんの「大人の教養講座 世界一ヤバい西洋絵画の見方入門」もとても参考になりました。文字数はやや少ないものの、この本のようなレイアウトには憧れます。

「山田五郎 オトナの教養講座」 世界一やばい西洋絵画の見方入門

幸いなことに2021年前半には市販のボードゲームレビュームック本が登場し、そちらの執筆陣にも加わらせて頂いています。1つのゲームを紹介するための文章の適当な長さや文体などを学ばせて頂く良い機会でした。こういう体験は貴重で、多くの知見を得ることができ関係者には感謝です。

またゲームマーケット2022年春にHiroさんが「蒸気の時代ファンブック」を発刊されていて、様々な点で参考にさせて頂きました。感謝です。

最終的な基本レイアウトは、「日本懐かしボードゲーム大全 (タツミムック) 」を参考に縦書き+写真という形式に決めたのが、2022年のGW頃でした。

日本懐かしボードゲーム大全 (タツミムック)

ただ、私にはDTPのスキルは無く、当初はワードで作ろうと考えてみました。しかしワードでは期待するレイアウトを作るのは非常に難しいと知り、ロボトリックでお世話になった、でじさんに私の希望レイアウトから基本となるinDesignのファイルを作っていただくことをご相談し快諾いただいています。これも感謝です。

そうなると自分のイメージを伝えなくてはいけませんの、最初にこんな形で全体のページ配分を作って、各ページがどんな構成になるのか整理しています(実際は1ページあたりの文字数とか色々書き込んで決めてある)。

その後に、もう少し詳しい感じのレイアウト資料を作り(これは別冊1のもの)いくつかレイアウトパターンなどを試しています。

そしてお願いする前には、1ページ単位の実際の文字数やレイアウトを自分の最終希望に近いモノを私がPhotoshopの合成で一旦作り上げて、inDesignの基本ファイルを作って頂く基礎データとしてます(実際はこのデータに赤入れをして修正方法を検討していました)。

もちろん紙面をご存じの方は、下の画像と最終決定稿が違うのをおわかりいただけると思いますが、何度かやりとりしてより見やすい文字量やフォント、配置などを決めて基本データを作っていただきました(各種の事情により入れられなかったモノもあります)。

この後は、文字原稿を流し込んで必用があれば細かい修正をしてゆくことになりますが、それについて柊さんと相談し、通信教育でinDesignを学んでもらい、この後の完成まで3ヶ月近くにわたってデータの流し込みと調整を続けてもらうことになります。感謝です。

基礎データファイルがあっても、文字数を増やしたいページがでたり、想定していないレイアウトにせざるを得ないページが出てきたりして、どうしても最後まで調整が必用となったのです。

ここで重要なのは、自分が作りたい紙面が決まってレイアウトが確定して、始めて【1ページあたりに必用な文字数】が割り出せたので、ここから文字数を再計算し、過去に書いた記事のリライトと新規の書き下ろしを始めることができるようになってます。

とにかくこのレイアウトが決めるのがスケジュールを進める上で重要と痛感してます。

印刷について

20世紀にコピー本や白黒のミニコミ誌は作ったことがあったものの、フルカラー本でかつフルデジタルの本など作った経験は全く無かったので印刷時の色合いや紙の選択には最後まで悩んでいました。

そこでコストを無視することにして、私が普段Photoshopで編集しているような内容そのままで一度画像データを全て作り、別冊1を一部分だけ印刷して色味や印刷の出具合の確認をすることにしました(紙に関してはサンプル紙を多数取り寄せて、希望する書籍の紙に近いものを探しました)。

テスト印刷の時は、写真を3グループに分けて加工して、それぞれの印刷がどうなるか確認しています。あがってきた印刷を見ると、3グループ目の写真は思い通りにでてるけど、1,2グループはもっと良く出来そうという所感でした。

この感触をもとに、本誌の表紙予定の画像に対してグループ3系の加工を施して名刺を作っています。サイズこそ違えど雰囲気はこれで分かると思っての調整でした。

これはとても上手くいき、ここで確認できた内容をもとに、別冊1の写真を全て差しかえ、再印刷を行っています。

最終的に、別冊の印刷で得られたノウハウをもとにして、一度完成していたVol.1の写真データを全て作り直し、DTPレベルでも細かい調整を施してから、別冊と同じプロセスで印刷してあります。

当たり前ですが、印刷は一定の冊数を纏めて刷った方がコスト時にも有利で、こんなに何度も部分的に印刷するのは褒められたものではありません。ですが、経験のないものにトライして、自分が満足ゆく品質にするにはこうした事が必用であったのかと思っています。

結果として、Vol.1の印刷は、気になる点がいくつかあるものの、かなり満足はできる品質に出来上がっていて、Twitterなどのコメントを拝見している限り一定の評価をいただけているようで胸をなで下ろしています。

このあたりは、かなり前倒しで細かくスケジュールを作成しておいたこともあり何度も印刷のやりとりを行えたのが良かったと思います。

表紙について

最後まで難題だが放置していたのが表紙です。前述のHiroさんが2022年春に出された蒸気本。あれが表紙も素敵だったので、シンプルな構成で良いと考え、真っ白な背景に黒文字でいこうと思っていました。

そんな中に2022年7月にAIによる自動描画システムのmidjourneyがオープンベーターに移行します。早速メンバー登録し、どんな絵が描けるかとライセンスを調査し始めます。しばらく使っていると、大量にあるルネッサンス〜19世紀末までぐらいの絵画がこのAIの学習データとして豊富に使われているらしいということに気がつきます。

そこで、絵画紹介冊子のような表紙にするとして、数十枚のサンプルを作り、印象派的なヒッチが残る絵が良さそう、と判断してます。

最終的に「表紙は中央に女性がいる版、裏は風景・建物」という描画呪文を数週間で作り上げました。

表紙の上にのせるテキストは、でじさんにご意見をいただきサイズや位置などをチューニングして決定稿にしてあります。文字の位置とサイズ1つとってもベテランのご意見をいただけるのは貴重です。

ただ、絵を作ってる途中にもAIがバージョンアップを繰り返し、同じ呪文を使っても似たような絵が徐々に作りにくくなっていることに気がつきます。

特に新しいコマンドが入ってくると非常に美しい絵が出力される反面、それまでの絵に似てないのです(もう少し未来になると、このAIはコミカルタッチとか、このAIは、現代アート風が得意とかになってくるのではと思います)。

追加されたコマンド群が正式版になる前に、Vol.1で採用した絵を出力する呪文を使って雰囲気が違うがシリーズとして並べると問題無い絵を大量に作っておく必用がでてきました。結局、Vol.1リリース時には、Vol.5と別冊数冊分まで先に完成させて、この後に備えることにしてます。下の画像はVol.3になる予定のものです。

以下の画像はVol.5になる予定のものです。既に背景の雰囲気など変わってきていますので、調整して元に近いものに出来れば差し替えるかもしれません(これはこれでゴージャスでよいのですが)。

幸いなことにVol.1の表紙アートは多くの方に好評でしたので、安心すると同時にストック済みの画像で今後もしばらくリリースできそうです。ただ、さきはどうなるか分からないので、他のAIによる絵画描画について継続的に調査して表紙絵などを作成可能か調べています。

宣伝について

こんな調子で2年ほどかけて原稿も紙面データも完成しリリースを待つのみとなったときに、この後は宣伝をどうするか考えないといけないフェイズに入ります。

前出のとおりメンバー様優先なので、会場受け渡し、通販分の数量をメンバー様向けに確保した後の、残数をどう手に取って頂くかが悩みどころでした(需要予測は全く不明でした)。

ただ、ゲームでも無く本なので、自薦系宣伝などに応募することはなく、Youtubeの自チャンネルと自分のTwitterで告知して、ピックアップしていただける方がもしいらっしゃれば、ありがたくお任せするという方針にしました(この時点でYoutubeのチャンネル登録者数が約2万人、Twitterのフォロワーが約1万人)

これを選択した理由は、いくつかあるのだけど、それはまたの機会に。ただ結果として必用な方にはある程度届いたのかなという感触はありました。

あとは、当日の内容を告知する画像が必用ということで、

  • キャッチコピー
  • タイトル
  • 価格
  • ゲームマーケットの場所

の要素が入っていて見やすいカラーとレイアウトを考えなくてはいけません。この手のは、書籍の中吊り広告や書店での新書ポスターなどを調べてます。

Googleで新書・ポスターといったキーワードをいれて画像検索するのです。今回は、「同志少女よ敵を討て」の書店様向けポスターが最も私の感じに近かったので、そこからヒントを頂いて絵面を作り上げています(これは私がPhotoshopで作りました)。

白とオレンジの対比が私の好みでGM当日もこれの印刷物を使っていました。Vol.2も同じレイアウトを使うと思います(イメージ定着は重要ですね)。

今後について

今回のリリースで一定の感触を得ましたので次のゲームマーケットに向けて準備を進めようと思っています(Vol.1はご祝儀で買って頂いているというのを重々承知していますので、Vol.2は冊数を少し減らすかもしれません)。

リリース間隔は、Vol.Xはゲームマーケット単位で約50ゲームを収録しようと思っています。Vol.2は2ページ構成の紹介を増やす予定で100ページ(3割増)のつもりで作っています。

別冊については、不定期ですが、こちらはメンバーオンリーで一般流通予定はありません。直近では別冊2を出します。これは、2022年のベストゲームを収録(軽量級・中量級・重量級・拡張の4部門)して、2022年11月末から予約受付開始で年末お届け予定です(4割ほど書いて終わっています)。

別冊2は特集号なので、新DTPレイアウトも検討して、このような下書きから

新レイアウトデータも作成頂いて終わっています。

なかなか準備に時間がかかりましたがようやくフォーマットができ、リリースできるノウハウが素人ながら貯まってきていますので、今しばらく続けて発刊してみようと思います。