毎年発表されているボードゲームに関する賞はたくさんありますが、今回はドイツ年間ゲーム大賞について取り上げてみます。
ドイツ年間ゲーム大賞は1979年から続いているボードゲームに対して送られる賞で、2010年までは大賞と受賞すると赤ポーンが送られていました(受賞ゲームの箱絵に印刷される。賞を授与した側はこのライセンス費用を受け取っている)。途中からゲームのカテゴリーに応じて赤ポーン・黒ポーン・青ポーンなどに分かれて現在(2019年)まで続いています。
1979年〜1999年の20年分
まずは古典的時代と言われる初期の20年を振り返ってみます。
ドイツ年間ゲーム大賞紹介 1979年〜1999年編- 【ボードゲーム】
2000年〜2009年の10年分
つぎに2000年から2009年のゲームシステムが一気に発展してくる時代を見てみます
ドイツ年間ゲーム大賞紹介 Vol.2 2000年〜2009年編- 【ボードゲーム】
補足
動画の中で語れなかった部分について、下記で補足して行きます。ここから下はボリュームがあるため随時追記予定です
1979年 うさぎとハリネズミ
記念すべき初の受賞作です。「ウサギとハリネズミ」「ウサギとカメ」といったように複数のタイトルに分かれてなんどもリメイクされているゲームです。
基本はレースでゴールに向かって進んでいけばいいのですが、この時代だとレースゲームを解決するにはダイスを振るしかありません。そこを人参カードを支払うことによって進むマス目をコントロールできる(一回の手番でたくさん進むほどのコストが累積的に高くなる)という点が斬新でした。
止まったマスによってもイベントが発生したり人参がもらえたり。はたまた手番をパス(休憩)することで人参を一定量もらえるなどマネージメント要素も入っていました。
現代でも子供向けなどでは十分楽しめるゲームなのではないかと思いますし、日本語版もリリースされているゲームです。
1980年 ラミーキューブ
ラミー系ゲームの代表といえば、今でもこのゲームが出てくるのではないでしょうか。セット(同じ数字)とラン(連番)を作って手札から場に出していき、いち早く手札を無くせば良いというシンプルなゲームです。
特徴的なのは一定の条件を満たすことができれば、既に場に出されているタイルに自分の手札を追加して再配置して良いというルールが光ってます。
これによってパズル的に一見出せそうになかったタイルも組み替えることによって手札から出せるという魅力を持っています。
同時に長考を生む要因にもなっていますので、タイマーを使用してプレイ時間を制限するスタイルでのプレイも幅広く行われているようです。
1981年 フォーカス
アクワイア・キャントストップなどのシステムデザイナーとして著名なシドサクソンさんのゲームです。
二人またはチーム戦の4人でプレイするのが基本になっており、自分の色のコマを移動させて相手のコマの上に被せて良くという仕掛けになっています。
面白いのは、コマは縦・横のいずれか一直線に移動するのだけど、何マス移動するかは、そのコマの高さに依存している点です。そして高さが一定以上になると積んでいる一部のコマを除去するというしかけが効果的でした(これで相手のコマを恒久的にはじき出せる)。
運の要素のない完全読み切りのゲームなので、好き嫌いははっきり分かれると思うけど、そちら方面が好きな方には非常に受けるゲームですね。
ちなみにシドサクソンさんは、ゲームコレクターとしても知られてます。2002年に亡くなられたときは18,000点以上のゲームを保有していたとも言われたり、米国オリジン賞の殿堂入りも果たしているなど、古いゲームを語るときには外せない一人ですね。
【ボードゲーム レビュー】「Focus (フォーカス)」- 厳しいガチンコ対戦ゲーム
1982年 ザーガランド
こちらも当時らしくすごろく。米国だとF1などの現実世界のレースゲームがたくさんでていましたが、ドイツ年間ゲーム大賞の候補になっているゲームは、こうした柔らかいテイストのものが好まれていたようです。
ザーガランドは、2個のダイスを振って、合計または差分で進むことができわりと移動量をコントロールすることができます。
移動中に、植えられている木を裏返すと特定の宝物が指定されているので、それを入手してくれば良いという仕掛けです。
ところが、いい年した大人がやると、木の下の宝物を覚えてない。この点がうまくバランスを取っていて小さい方とプレイしてもゲームバランスが取れているという仕掛けになっています。テーマも童話などから取っていきていて、その点からも子供とプレイすることを意識していたゲームですね。
Ravensburgerラベンスバーガー ザーガランドSagaland 《ドイツ版日本語説明書付》
- メディア: おもちゃ&ホビー
1983年 スコットランドヤード
80年代のハンズとかに行くとよく置かれていたり、昔のJAGAの赤本でも紹介されたりして80年代のファミリーゲームとして国内にも多く入ってきたゲームではないでしょうか。
非対称型になっていて、どこにいるかわからない犯人と、その他のスコットラーンドヤードに分かれてプレイするのが当時としては斬新で(非対称型ゲームがほとんどなかった)、こぞって犯人側になりたがったものです。
そのあとも様々なバージョンがリリースされ続け、東京マップやその他の国のマップも出ています。ゲームには3人からと書かれていますが、スコットランドヤード側を一人のプレイヤーで全て担当して1vs1の形でのプレイもよく聞く話ですのでプレイ人数の調整はしやすいゲームです(人数が多いと奉行問題は起こりやすい点には注意)。
スコットランドヤード (Scotland Yard) ボードゲーム
- メディア: おもちゃ&ホビー
1984年 ダンプフロス
クレヨンゲームで印象に残っているものをあげるとすれば?という問いには、このダンプフロスかエンパイアービルダーをあげる方が多いのではないでしょうか。
ウォーゲームのような記号が書かれているマップの上に線路を敷設してゆき、特定の目的地間を接続するとレースゲームに変わるという「自分が敷設して路線を使える」という楽しさにフォーカスしたゲームでした。
クレヨンで描くとだんだん消えなくなったり、消したカスが大量に出ることからホワイトボードに使うようなペンで代用したりサランラップを巻いて油性ペンで書いたりといろいろ工夫したのも懐かしいゲームです。
このあとのゲームになると、線路はクレヨンではなく線路タイルを配置するのが定着してゆき、プレイはしやすくなる反面、古参のプレイヤーからすると「クレヨンで線を引くのも味わいがあるんだけどな」などと振り返るゲームです。
エンパイアービルダーの方は、クレヨンで線を引いたあとに、荷物を運ぶフェイズがありますので、もう少し複雑化していますが、この2作とも一度はプレイしておいても損はないゲームだと思います。
1985年 シャーロックホームズの犯罪事件簿
ホームズの思想を想像して犯人を割り出そうという企画のゲームです。
設定された事件の謎を説くべく、現場・関連人物への聞き込み・新聞の読み込み・貴族一覧・馬車乗り場・駅などありとあらゆる情報が入った本と地図を眺めながら考えてゆくことになります。
ここまでのボードゲームとは完全に趣が異なるこのゲームですが、1982年に元祖ゲームブックともいえる「火吹き山の魔法使い」が発売されており、ファイティング・ファンタジーでゲームブックが量産されていた時期でもあります。
そうした流れを受けて、ホームズでゲームブック的なもの、そしてより本格的な推理をホームズに成り代わって体験できるもの、ということで作成されたゲームではないかなと思います。
非常に難易度の高い(プレイそのものは簡単)ゲームなので、推理系がお好きな方は一度試してみるのも良いと思います
1986年 アンダーカバー
名作の正体隠匿ゲームです。ボード上に配置されているエージェント。だれがどのエージェントを担当しているかわからない、という興味深いテーマを扱ったゲームです。
当時のスパイもので秘密アイテムを取り合うといえば、ギブソン社のシグマファイルが有名だと思いますが、あれはスパイは誰のものでもなかったのに対し、こちらはスパイ(エージェント)は誰かが担当しているが誰が担当しているかは、(明確には)わからない。という点が異なっていました。
今となっては正体隠匿系は、ボードゲームはキャメロットを覆う影を発端として、様々なところで登場するようになりましたし、パーティーゲームとしては人狼系の流行もあって定着した感がありますが、当時はとても斬新でした。
といっても、プレイはダイスを振って、任意のエージェントを動かすだけというシンプルな構造ですので、プレイは簡単、だれがどのエージェントを担当しているかをドキドキしながら楽しめるというのがヒットの要因ではないかと思います。
ここからあとは、別途追記します
1987年 アウフアクセ
1988年 バルバロッサ
バルバロッサ (Barbarossa) 日本語版 ボードゲーム
- メディア: おもちゃ&ホビー
1989年 カフェインターナショナル
カフェ インターナショナル Cafe International [並行輸入品]
- メディア: おもちゃ&ホビー
1990年 貴族の務め
1991年 ドルンター&ドルーバー
1992年 ホーマスツアー
1993年 ブラフ
1994年 マンハッタン
1995年 カタンの開拓
1996年 エルグランデ
1997年 ミシシッピクイーン
ミシシッピークィーン(MISSISSIPPI QUEEN)新版 和訳付輸入版
- メディア: おもちゃ&ホビー
1998年 エルフェンランド
エルフェンランド (Elfenland) [並行輸入品] ボードゲーム
- メディア: おもちゃ&ホビー
1999年 ティカル
ティカル:Tikal(2016年版) / SuperMeeple / W Kramer& M Kiesling
- メディア: おもちゃ&ホビー