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シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明け

文明系で4Xのカテゴリーに該当するゲーム。

シビはいろいろでているのだけど、これは独特のシステムをいくつか持っていて興味深い。

概要

各プレイヤーは独自の国家能力を持ち、ゲーム開始時に設定される三つの目標をいち早く全て達成することを狙う

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特徴

開始時に各プレイヤーは、独自の国家を持っているので、ぞれぞれ首都が一個配置される。

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この手のタイプにしては珍しく、首都は破壊されず常に残り、そこから周りに影響力を拡大して、味方の都市を建設してゆくことになる(首都が破壊されたら即敗北という路線はない)。

プレイシーケンスは、スタートプレイヤーが固定的で、全員が1アクションするとイベントが発生するという流れ。これを勝利条件達成のプレイヤーがでるまで続けてゆく(手番数は必ず全員同じになるようにプレイする)。

手番アクションは選択肢が5個ある

  • 軍事
  • 科学
  • 文化
  • 産業
  • 経済

このうち一つを選択して処理すれば手番のアクション終了という事になる(下の画像で、横に並んでいる5枚のカードがアクションの選択肢)。

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独特なのは、アクションの選択肢がカードで横に並べられており、左端はパワー1。右に行くほど強くなり右端はパワー5となる。

手番では、どの位置のアクションカードでも選択できるのだけど、選択した位置のパワーがアクションに補助として追加される。さらに、使用しておわると1の場所に移動し、残りのカードがスライドすることになる。

つまりどのアクションも待つほどにパワーが強くなり便利になる。また、パワー欄には地形も描かれていて、効果によってはパワー欄に描かれている地形(より小さいパワー値の地形を含む)しかアクションの対象にできないという縛りもある。

例えば、交易用のキャラバンが通過できる地形、攻撃できる対象の地形、都市を建設できる地形、と様々に影響してきて、パワーと地形の二つにより単に強いアクションを連発することができない仕掛けになっている。

またプレイヤー達が手番を終了した後に発生するイベントは大部分が、蛮族の移動、再配置となっている。

そして、この蛮族は序盤ほど恐ろしい。蛮族がこちらの都市に入ると無条件で破壊するし、支配エリアのトークンも破壊する。

蛮族の移動はダイスでランダムだが、プレイヤーが移動しづらい水上も超えるし、ボード端に行くと逆側から出てくるので油断ならない。しかも倒しても一定周期で復活してくる。

ならばと、蛮族が遠距離にいるときに攻撃しようとすると前述の地形が邪魔して思い通りに排除できない。

ただ、中盤以後になると、5つのアクションは進歩により強力なものに変わり、都市の防衛力も高まり、建設したセブンワンダーの特殊効果も得ているので、急速になんだか邪魔だな、という位置づけになってくる。

対人戦闘をしていなくても、蛮族を相手にすることで「強くなった感」を徐々に体感できる展開は、デザイナーの意図通りだろう。

最後に面白いのは三つの目標ところ。各目標は二つの選択肢が提示されていて、どちらかを達成すれば一つクリアとなる。 f:id:mltgg:20201104235025j:plain

ポイントは、一度でも条件を満たせばよく、その後に何か起きても良い、というところ。つまり都市8つを建築といった目標があれば、達成した後に自分の都市が攻撃されてる奪われても「達成した結果」はなくならない。

これは、各達成条件が成立する前に軍事的行動を起こさないと相手を妨害できない、ということを意味しているが、それを実行したからと攻撃側の目標達成に必ずしも寄与しない点が悩ましい。

一度戦闘で妨害しても、パワーの関係で連続戦闘はしづらい上に、それだけ自分の目標達成が遅れることになるからどうするか悩むことになる。この辺が、この手のゲームにありがちな「終盤は結局戦争で決着がつく」という方向に偏りすぎない展開になれるようにみえる。

感想

シビ4X系だが、勝利条件が必ずしも軍事的野望を抱かなくても良いこと。しかし、ゲームの流れにしたがって、そうなってもいいという選択肢も出てくる。ここの演出がいい。

勝利条件の1つが「特定種類のワンダーをX建築する」となっていてワンダーが後半枯渇すると、ワンダーを所有している相手都市を攻撃してワンダーを奪う選択肢が必然的に生まれてくる。

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攻撃されて都市とワンダーを奪われたプレイヤーは確かに痛いが、事前にそのワンダーが必要な目的を達成していれば目標達成そのものは失うことはない。

ここが効果的で、各プレイヤーはプレイの進行に従っていずれ軍事的野望を抱くが、破壊される側はそれを見越して目標を達成しておけばよいということになる。

勝利条件から脱落したプレイヤーが相手の領土を焦土にしようとしても、軍事的アクションにパワーが溜まるまで自由な攻撃を行い辛いので、そうした行為にもブレーキがかかる。こうしたバランスがとてもいい。

拡張が2020年に日本語でリリースされるので、それを加えた時のプレイ感がどうなるか今から楽しみ。過去にプレイしたシビの中ではトップクラスの面白さの私好み

シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明け

シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明け

  • 発売日: 2018/08/11
  • メディア: おもちゃ&ホビー